一谷 幸男
一谷 幸男(いちたに ゆきお:応用心理学部 臨床心理学科)
主な担当授業:神経・生理心理学 心理学実験Ⅰ,Ⅱ 心理学文献講読 A, B
専門:生理心理学 実験心理学 行動神経科学
主な担当授業:神経・生理心理学 心理学実験Ⅰ,Ⅱ 心理学文献講読 A, B
専門:生理心理学 実験心理学 行動神経科学
動物の心とは?
動物に心はあるのか?
心理学のテキストをながめると、概論書でも専門書でもあちこちに動物の話が出てきます。チンパンジー、サル、ウマ、イヌ、ネコ、ネズミ、・・・。哺乳類のみではないですね。ハトやアヒルや、さらにはサカナだって出てきます。心理学は名前のとおり「心」の学問ですが、ヒト以外の動物には「心」はあるのでしょうか?自分の身の回りにいるいろいろな動物を思い浮かべて、その動物には心があるのかないのか、考えみてください。なぜ心があると言えるのでしょうか、なぜ心がないと思うのでしょうか
どうして心があると?
何かを記憶できるから? 考えたり判断したりするから? 感情があるから? 意識があるから? 相手とコミュニケーションできるから? ・・・
もちろん正解が決まっているわけではありません。
もちろん正解が決まっているわけではありません。
心のはたきとは?
心理学をこれから学ぼうとする際に、動物の心について考えてみることは、そもそも「心とはいったい何なのでしょうか?」という基本的な問いについて、自分の意見を整理するためのヒントになるでしょう。心のはたらきについて、ヒトは他の動物とは大きく異なる側面があり、一方でヒトも動物の一部であり同じような原理で行動する側面もあります。
忘れることの心理学
忘れるのは自然?
私たちは大事なことを憶えておこうとし、大事でないことは自然と忘れていくでしょう。とてもうれしかったり、とても悲しかったりした出来事は、なかなか忘れられないことも経験的に知っています。受験生ならば試験の前に一生懸命勉強しても、すぐに忘れてしまうのでなんとかならないかと悩む人も多いでしょう。
先人の研究では・・・
心理学の教科書には「忘却曲線」というものが書いてあり、人は憶えこんだことをほんの数時間のうちにもどんどん忘れていくというのです。しかし、考えてみると「忘れる」というのも私たちにとって重要な心のはたらきであり、もしすべてを憶えていたら、そのうちの大事なことを思い出すのが一苦労かもしれないです。あるいは忘れたいことがあっても忘れられないのは、むしろつらいことでしょう。
ネズミは忘れるのか?
ネズミも忘れることができるのか、調べてみました。自らが選んだ選択肢を憶えておかないと、そのあとで効率的に餌が得られない状況と、憶えていなくてもそのあとの餌取り場面に影響しない状況の、どちらにいま置かれているのかをネズミに合図してやりました。すると後者の条件の方が記憶成績が悪くなり、つまり「忘れてしまう」傾向がありました。
なんの役に立つのか
動物の忘却現象を利用すると、私たちが忘れるときの脳のしくみをもっと詳しく知ることができる可能性があります。記憶の顕著な障害が見られる病気のしくみや、治療薬の開発に役立つかもしれません。