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お知らせ

2016/02/05

本学大学院生と石村郁夫准教授が学会長賞を受賞しました!!

東京成徳大学大学院心理学研究科の修士課程1年の寺井治樹さん(本学臨床心理学科2014年度卒)と臨床心理学科准教授の石村郁夫先生が、平成28年1月30日(土)~31日(日)に立正大学で開催された日本学校メンタルヘルス学会第19回大会において、ラウンドポスターセッションにおいて極めて優秀な発表として認められ、見事、学会長賞を受賞しました。共同研究者の石村先生にお話しを伺って来ました。

Q.今回、受賞された研究テーマは何ですか?
今回、受賞した研究テーマは、「過去のいじめによる心的外傷体験がもたらす認知変容に関する調査」でした。

Q.どんな研究ですか?
全国でいじめの認知件数は毎年15000件を超えて確認されています。いじめを苦にして自殺する児童生徒のニュースも連日のように報道されるようになっています。私たちはこの事実を目の前にして何ができるだろうということが、寺井治樹くんがこのテーマに取り組むきっかけでした。一つずつのいじめの事例に触れて、いじめられた毎年15000人の子どもに思いをはせると本当に胸が切なくなりました。実際に、小中学校でのいじめ被害経験はその後の人生を左右すると言われています。文部科学省は、このようないじめ被害体験後に抱える諸症状のことを「いじめ後遺症」と呼びました。欧米諸国においても、いじめが後々の人生において心的外傷後ストレス障害(PTSD)になることが示されていますが、過去のいじめ被害体験は大学生になってもどのくらいPTSD症状を呈するのか確認することから始めました。さらに、PTSDの治療においては現在PE療法に代表される認知行動療法が推進されていますが、被害体験を繰り返し思い出すことにより記憶の再体制化を図ることでその被害体験に対して何らかの捉え方や意味づけの獲得によって治療効果が示されています。そこで、本研究においても、いじめ体験によるPTSD様症状や否定的認知を緩和する要因としてどれほど意味づけの獲得が緩和効果を示すのか見当することが目的でした。

Q.どんな結果が得られたのでしょう?
 まず、驚いたことは、いじめ被害者のうちPTSDの診断基準を現在でも満たす人が38.9%もいたという事実でした。実は、これは欧米諸国と同様の結果(Idsoe, et al., 2012)が得られました。さらに、いじめ被害体験によるPTSD症状を抱えていても、いじめ被害経験後に何らかの要因で人と繋がっているという意味づけが獲得できると、PTSD症状が軽減されることが示されました。
 そのため、いじめは一過性のものではなく、PTSD様症状を呈するような長い期間、被害者を苦しめる問題であるということがあらためて確認されました。さらに、いじめ被害経験への意味づけによる緩和効果が確認されたことから、いじめ被害者に他者に対する信頼感を築けるように周囲からのサポートを受けやすい状況を作り、長期的なケアを行うことが大事であると考えられます。

 共同研究者の石村先生、ありがとうございました。

(臨床心理学科)

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