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今週の「屋内ボールゲーム」(15週目最終週)


最終週となる15週目のゴール設定は「ふりかえりとまとめ」となります。
これまでの14回の授業は、概ね予定通り進めることができました。
運動経験の影響もあるかもしれませんが、男女問わず15回目の授業となると“バスケっぽく”なってきます(笑)
さて、これまで15回の「屋内ボールゲーム」としてバスケットボールの指導を紹介してきましたが、ここで改めて思ったのが、“スポーツ指導は家の建築?石の彫刻?”ということです。
???と思った方も多いかもしれません。
実は、この“スポーツ指導は家の建築?石の彫刻?”というのは、小生の尊敬する陸上指導者と議論した話題です。
前者の「家の建築」的なスポーツ指導とは、基礎、柱、壁、屋根といったように一つひとつの課題をクリアしながら完成へと導くイメージです。
一方、「石の彫刻」的なスポーツ指導とは、完成形をイメージしながら、大きな石を削っていくイメージです。
これは、指導する側の話なのですが、決してどちらがいいという話ではありません。
15週の経験から感じるのは、「屋内ボールゲーム」のような球技系のスポーツにおけるチーム指導は「家の建築」という印象です。
基礎技術を皆で共有しながら毎回の授業で反復する、あるいは種目独特の動きを見様見真似でやってみる、などなど最初は戸惑いながら行っていたドリルも15回目になると格段にスムーズに行えるようになります。
これは、積み重ねた技術の構築によって得られた成果です!

一方の「石の彫刻」ですが、これは個人の指導を行うときに必要な感覚ではないかと考えています。
今は何の変哲もない石が、彫刻家が命を吹き込む…という感じですかね…。
その石を見て、将来的にはこのようになるだろう…という“想像”から手を加えていく…。
スポーツ指導の場合ですとその個人を見て、“こんな選手になるだろう”という“想像”から指導方法を構築していくというイメージになります。
指導者としての“感性”や“経験”が必要になるかもしれません。
スポーツ指導は奥が深いですね

もう少しだけこの話にお付き合い下さい(笑)
「家の建築」的なスポーツ指導では全体に説明することが多くなり、「石の彫刻」的なスポーツ指導では個人的に説明をすることが多くなります。

「家の彫刻」→ベクトルを定める(ゴール設定をする)
「石の彫刻」→個人的な役割を認識する

“情報の量と質”…これによって成果は大きく変わってきます。
21世紀のスポーツ界では、“情報”を収集する能力は、速く走ったり、高く跳んだりという運動能力よりも重要であるといわれています。
「家の建築」的なスポーツ指導では、指導者側が“情報”は与えてくれることが多くなります。
一方の「石の彫刻」的なスポーツ指導では、指導者側が“情報”を与えてくれるのですが、それ以上に本人(学生・選手)がどのようにその“情報”を受け入れるかが重要となります。
もっと言いますと、発信者の指導者が意図する内容を、受信者である学生が受け入れることができるのか?ということが一番問題になります
つまり、指導者と学生の間に確かな“信頼関係”が必要なのです。

例えば、バスケットボール未経験の女子学生が授業を通じてスリーポイントショットが届くようになってきました。
ただ、シュートを入れたいという思いが強い故に上体が前屈みになってしまい、放物線(アーチ)をうまく描くことができていません。
この現状を分析すると…
現状…スリーポイントシュートが届くようになった!
問題…上体が前屈みになっているためシュートがライナー性になっている(成功の可能性が⤵︎)
分析…シュートに放物線(アーチ)が必要☝️
改善点…上体を起こして、フォロースルーを意識する
解決案…動画を撮影して自己分析する
…このようになります。

ここで問題になるのが、これをどのように伝えるのか?ということになります。
これは授業だけではなく、様々なスポーツ指導の場面で問題になることですが、本授業では“サンドウィッチ・フィードバック”という技法を使って問題解決のためのアプローチを行なっています。
その名の通り、パン、具、パンの順番で作る「サンドウィッチ」のようにフィードバックする方法です。

①ポジティブなフィードバック(パン→シュートが届くようになったね!)
②改善点・指摘=ネガティブなフィードバック(具→上体を起こしてフォロースルーを意識したほうがいいね!)
③ポジティブなフィードバック(パン→そうするとアーチが出るから入る可能性が高くなるよ!)

いきなり改善点を言われるよりも、褒めてもらってからの方が指摘を受け入れやすくなりますね。

授業の最後は、日本バスケットボール協会のコーチ指導でも使われるGBN(GOOD・BAD・NEXT)法で、15回の授業を振り返りました。

さて、これまで大学における実技授業の15回の流れを紹介してきました。
またこのシリーズを別の授業でアップする予定です!
ご覧いただきありがとうございました

(川北準人)
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