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健スポ授業紹介(5) メンタルトレーニング特講


健康・スポーツ心理学科(健スポ)のスポーツ心理学領域の授業には、メンタルトレーニング系科目として「メンタルトレーニング論」「メンタルトレーニング特講」「メンタルトレーニング演習」の3つが開設されています。この3科目を通じて、メンタルトレーニングに対する基礎的理解、応用的理解、実践的理解を深めていくことを目的としています。

今回ご紹介する「メンタルトレーニング特講」は、主に2年生を対象として開設されている、応用的理解をねらいとした授業です。ここでは、メンタルトレーニングにおける技法そのもの(ポジティブ思考、目標設定、呼吸法、イメージなど)ではなく、それを実践する際に必要となる理論や知識、考え方を解説しています。

メンタルトレーニング(以下、MT)は、いわゆる「メンタル面の強化」として取り入れられますが、実施することで必ずしも目に見える効果がすぐに得られるわけではありません。どんなに科学的根拠に基づいているとしても、人間が取り組むことですので、「思ったほどうまくいかない」ということに直面します。例えば、「無理にポジティブに考えているかのような違和感」「目標設定が大切なのはわかるが、高い目標を設定することがなんとなく怖い」「どうしてもネガティブなイメージが自然と湧いてくる」といったような問題です。このようなうまくいかない時こそが、アスリートとして本当の課題に取り組むチャンスであり、これを克服していく過程に付き合うことが心理サポートとしてのMTの重要な側面であるとも言えます。また、アスリートがMTを始めるきっかけというのは、心理的な悩みや課題に直面した時に多く見られます。つまり、「心技体のうち、技術と体力は極めたから、残るは心理を鍛えるのみ!」というスムーズでポジティブな過程というよりは、「プレッシャーによる苦しみ」「モチベーションの低下」「怪我」といったネガティブな出来事に直面した時に、MTに取り組み始めるものなのです。

このような「実際のところ」をMTの応用的観点として捉えて、「MTの実際のプロセス」「MT指導者のコンピテンシー(必要とされる能力、資質)」「プレッシャーの克服」「アスリートとバーンアウト」「怪我とアスリートの心理」、さらには「心理サポートの実例」などといったトピックを詳しく解説しています。

この授業を通じて、MTの技法そのものの知識のみならず、アスリートのメンタル面が強化されていく「血の通ったプロセス」への理解が深まっていくことを期待しています。

(担当:佐々木)
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