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教員の研究活動の紹介②:小西 瑞穂 准教授


大切な家族が病気になったり、何か問題を抱えたりした経験をされたことが皆さんにもあるのではないでしょうか。また、その家族の回復や幸せを願う一方で、心配や不安が生じた経験もあると思います。

心配や不安は先が見通せないときや取得したい情報が得られない場合に生じる感情です。それらの感情を低下させるために、正しい知識や情報をその人の心理面に配慮しながら提供する方法を心理教育といいます。

1991年に統合失調症の患者家族を対象として、心理教育の効果を調べた研究結果が発表されました。統合失調症の患者さんが服薬と簡単な診察という通常治療を受けた場合と比べて、それにプラスして患者さんのご家族に心理教育を行った場合、1年後・2年後の患者さんの統合失調症の再発率が半分に減少した(Hogarty,G.E., Anderson,C.M. et al.,1991)というインパクトのあるものでした。

つまり、患者さんのご家族の心配や不安を減少させることは、患者さん本人の症状を軽くすることに繋がるということです。

私は精神科臨床や身体科臨床、スクールカウンセリングに携わる中で、患者さんご家族の辛さや大変さを目の当たりにしてきました。また、患者さんと家族の中に軋轢が生じていることも多くありました。

そこで、家族心理教育を自分でも統合失調症患者さんのご家族を対象としてやってみました。すると、データ上はもちろんですが目に見えてご家族が元気になられるんです。具体的には表情が豊かになり、服装も身綺麗になられ、お母様は美しく、お父様はダンディになられます。もちろん、家族関係が改善され、患者さんの症状も良くなりました。

この経験から、様々な疾患や問題に家族心理教育が適用できるのではないかと考え、うつ病、発達障害、不登校、食物アレルギー、体重増加不良の患者さんやお子さんをもつご家族に家族心理教育を行い、その効果を確認してきました。

現在は、食物アレルギーの子どもへの心理教育の効果研究に注力しています。食物アレルギーはその原因や治療法がまだ解明されていないため、患者さんやその家族には原因食物を避ける厳格な生活管理が求められ、大変不安な日々を送っておられます。また、原因食物は様々であり、原因食物によっても精神的な負担感は異なります。早くこの心理教育プログラムを確立して、食物アレルギーの子どもとそのご家族の笑顔を増やしたいと思っています。

心理教育にご興味のある方、いつでもお気軽にお声掛けください。熱く語らせて頂きます!

(臨床心理学科 小西瑞穂)
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