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授業紹介:司法・犯罪心理学(担当:田中速 教授)


世間ではあまり知られていませんが、性犯罪者に対する再犯予防プログラムには近年大きな進歩がありました。

平成27年版犯罪白書によれば、性犯罪の再犯予防プログラムを刑務所等で受講した人の出所後の再犯率は、受講しなかった人に比べ大幅に低下しています。

私が担当している「司法・犯罪心理学」ではこの再犯予防プログラムの具体的な内容を説明しています。多くの性犯罪者は女性に対する独特の認知の歪みを持っていることが知られています。

そのような歪みを修正するための心理療法や、自分の内的な衝動に気付く能力を高める技法が用いられています。他人を傷つけないためには自分の人生を豊かで幸福なものにする、という犯罪加害者に対する支援手法としては意外に思われるようなものもあります。医療や福祉など他の分野で流行の新しい心理療法が、今ではこの分野で次々に応用されるようになっています。

この授業は公認心理師の国家試験を受験するために国に指定された科目でもあります。ですので刑事裁判や刑法の概要についても説明しています。性犯罪で言えば2017年に強姦罪が廃止され強制性交等罪が新設されました。改正前の強姦罪の法定刑は強盗罪のそれよりも軽かった、という話をすると毎年学生さんから怒りのような溜息のような声が聞こえます。

受講者には女子学生も多いのですが、幸いにもほとんどの人は性犯罪や暴力犯罪の話でも興味を持って聞いてくれているようです。現在の刑務所や少年院では性犯罪以外にも、薬物使用や摂食障害患者の累犯窃盗など、さまざまな犯罪で臨床心理学を応用した再犯予防プログラムが実践されています。このような分野に興味を持ち将来の進路として選択してくれる人が出ることを期待しています。あなたも一緒に勉強しませんか。

(臨床心理学科 田中 速)
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