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学長短信

2018/03/16

大学・大学院学位記授与式学長告辞(平成30年3月16日)  №10

 うらうらと春めく3月のこの良き日、学部学生338名、大学院生22名の学位記授与式を迎えることができ、たいへんうれしく思います。今年はじめて、学部の卒業式と大学院の修了式を合同で、開催することになりました。
改めまして、卒業生・修了生の皆さん、本日はおめでとうございます。また、ご家族や関係者の皆様の、これまでの本学の教育に対するご理解・ご協力に深く感謝するとともに、本日のご卒業・修了に対して心からお祝いを申し上げます。
 卒業生・修了生の門出を祝い、ご多用中にも関わらず、ご来賓の皆さまに、ご出席を賜りました。ご来賓の皆さまの前で、学位記授与式を行うことができること、教職員一同、大きな喜びでございます。
 卒業生・修了生の皆さんは、本学において、それぞれの課程を無事に修了し、晴れて、この日を迎えられました。本日、皆さんが手にする卒業証書、修了証書は、本学からの保証書と言えるものです。「建学の『成徳の精神』を身につけ、それぞれの専門分野で、本学が求める知識と技能を修得し職業人として社会に貢献できる人」であるという証明書であります。皆さんは、そのレベルに達したということが認められ、晴れて卒業・修了となったのですから、誇りを持って、これからの人生を歩んで行っていただきたいと思います。
 さて皆さんは、進学する人、すでに社会人経験のある人を除くと、この4月から、初めて社会人としてデビューすることになります。皆さんには、仕事を通して社会人として一人前になっていただきたいと思います。そこで、これから私の思いを3点ほど申し上げます。
まず第1は、体と心の健康に気をつけてお仕事を頑張っていただきたいことです。なぜ、最初に心身の健康を取り上げたかと言えば、学生の皆さんを見ていて、あきらかにゲームなどで夜ふかしをして朝起きることが難しかったり、手軽なカップ麺で食事を済ませたりする人を少なからず目撃してきたからです。学生時代は、それでも何とか無事にやってこられたかもしれませんが、社会人として仕事を続けるためには、そのような生活から脱皮しなければなりません。仕事を続けるためには何といっても「体が資本」と言えます。健康を維持してはじめて、仕事を続けることができるわけです。健康な体と心を維持するためには、規則正しい生活と必要な睡眠や栄養を取ることに尽きます。最近では、規則正しい生活が、体や心の負担を少なくし、その分、心身の免疫力を高め、病気になりにくくするばかりでなく、長寿にもつながると言われます。可能な範囲で、是非、規則正しい生活を心がけてください。
次に2番目は、社会に出てからの学びが大事だということです。
 「学生時代の優等生と社会に出てからの優等生とは違う」と言われます。現在、学校でアクティブ・ラーニングが実施されるようになってきたので、少しずつ変わってきましたが、学生時代の学びは、やはり「紙と鉛筆」が中心です。それに対して、社会に出てからの学びは、仕事を首尾良く行うための、実地に即した「実践的な学び」です。とりわけ、コンピュータの出現以来、スマートフォンひとつとってみても、情報テクノロジーの発展は、ハード及びソフト面で目覚しいものがあります。また民族や国境を超えたグローバリゼーションの普及拡大などもあり、仕事の内容も方法も、年々、新しい変化を見せております。変化の激しい今の社会、仕事の現場では、改革・改善が求められ、昨年までしてきたことが今年は通用しないということも起きています。それゆえこれからの時代、皆さんは卒業・修了した後、新しく学んでいくことが、たくさん出てきます。新しい学びのなかで得た知識やスキル、そして知恵を仕事に活かすことできれば、仕事が楽しくなっていきます。仕事が楽しくなれば、やりがいが生まれ、生きがいのある人生にもつながっていきます。どうぞ、社会人としての学びの中で、ご自分をパワーアップしてください。
3番目は、仕事のつらさに簡単には負けないで乗り越えていただきたいことです。仕事には、「つらさ」が、つきものと言えます。勤めはじると、仕事自体がきついとか、勤務時間が長いとか、給料が低いとか、同僚や上司がよくない、などなど、一部の幸運な人を除けば世界中のほとんどの人が、そのような「つらさ」を経験します。自分一人だけが経験する「つらさ」ではないので、一定の我慢が必要と思います。しかし最近よく言われる「ブラック企業」のように、限度をはっきりと超え、こんな職場では自分が持たないと思うようであれば、ためらうことなく、ご家族や、これまでお会いした信頼のできる教員や職員に相談して、よい方法を見つけることをお勧めします。
 一方、仕事がつまらなく、働くことの意味が分からないという「つらさ」も、耳にします。私が学生時代、作家の阿部公房という人の書いた『砂の女』という名前の本を読んだことがあります。『砂の女』は、当時20を越える国で翻訳され、世界からも高く評価された小説です。その本のなかで、実際にはありえない話ですが、砂が「すり鉢状」になっている「蟻じごく」の底に住む女が、風で落ちてくる砂で家が埋もれないように、毎日、砂を外に掻き出す仕事を、ひたすら繰り返して生きる姿が描かれています。掻き出した砂がまた翌日には風に吹かれて落ちてくる、その砂を外に掻き出す仕事を毎日ただ繰り返して生きていくなんて、なんてつまらない人生だろうと、第三者の私たちは思います。そして、私たちは、できれば面白い仕事、楽しい仕事、報われることの多い仕事を欲して求めます。このような私たちの仕事への「求め方」自体は決して間違ってはいません。なぜなら、そのことによりその人進歩や幸福に結びつくことが多々あるからです。他面、『砂の女』のように、たとえ「毎日、砂を掻き出すことを繰り返していく仕事」であっても、その者が生きていくために必要な仕事であれば、やる価値のある仕事、続けていく価値のある仕事であることも理解できます。その小説では、昆虫採集にやって来た男性教師が、その女の住む「蟻じごく」の家に落ちてきて、そのあと、しばらく様々な手段で脱出を試みますが、やがてそこでの生活に共感し順応していく様子も書かれています。
これからの人生において、皆さんはそれぞれ異なるお仕事をされるわけですが、どのような仕事であれ、自分が生きるために必要であったり、大切な誰かのために役に立つ仕事であったりするならば、それには意味や価値があることを知っていただければ幸いです。
 以上、3つほど、これから初めて本格的に仕事を始める皆さんに、私の思いを申し上げました。参考にしていただければ有難く思います。
 結びに、卒業生・修了生の皆さんが、これからの人生を、健康で、たくましく、そしてしなやかに生きていかれることを願い、私の告辞と致します。本日は、おめでとうございます。
                                                  平成30年3月16日
                                                  東京成徳大学学長 新井邦二郎

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